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生命保険屋が来た。

挨拶もそこそこに、自宅に招き入れ、テーブルを挟んで席に着き、ワシの最初の一言は、「結論から言うと、解約で。」だった。説明を受ける約束の日だったからだ。
ワシには癌の手術の前歴がある。皮膚癌だった。悪性の。しかし、進行の遅いのと、まだ大きくなっていなかったために、皮膚を抉るように取り除くだけで済んだ。その六年後の去年の今頃、漸くそのホトボリもさめて死亡保険金の大幅な減額を含んだ契約の見直しをしたのだった。だって、ワシにもしもの事があったら、保険金を残してあげられる大事な大事な人が、先に逝ってしまったからだ。そして、次回の見直しで、年齢の事がネックになり、保険料がかなり上がるとの連絡が入っていたからだ。

色々話したよ。早くテルッツと同じ姿になりたい事、今から自分の後始末を準備しなければならない事、勿論、契約料の事。今までの保険積立金を取り崩してまで、高い保険料を払いたくない。「残っている積立金があるなら、それをワシの七七日法要に充てたいのよ。」と言った。ワシにとっては、自分の通夜葬式よりも、納骨の方が大事なのよ。やっと昔のように二人っきりで眠る事が出来る日だからね。
そんな事を話していたら、「なんで、そこまで奥さんを愛せるんですか?」と、訊かれた。
解らないよ。傍から見れば、すごく仲の良い夫婦だったのかもしれない、でも、テルッツとワシは、お互いに愛し合っているなんて意識したことが無い。いっつも二人で居て、手を繋ぎ、Kissをして、抱き合って、一緒に眠った。それが当たり前だった、それらの一つでも欠ければ日常で無くなってしまった。愛し合うことがあまりにも当然だった。だから、二人には普通の生活だった。
「そこまで奥さんを愛せるなんて、とっても幸せなことですよ。」とも言われた。
そうなのよ、テルッツを思い浮かべれば幸せになるのよ。これは、ワシの持論。「幸せになりたかったら、心の底から愛せる人を見つけること。その人が幸せそうに微笑む姿を見る事が自分の幸せ。」

テルッツはワシを、一人の女を心の底から愛する事が出来る人間にしてくれた。人並みの温かい心を持たせてくれた。居なくなってしまって時間は経ったけれど、心の中にテルッツを思い浮かべれば、無茶苦茶悲しいけれど、幸せな気分にもなれる。
だから、ワシは毎日泣いて居るんだな。きっと。

結局、強大な生命保険会社の営業力に屈し、今回は「解約」の二文字をひっこまされた。併しながら当方も、「次回提案される内容が、納得出来るものでなければ、テレビでよく見かける通販の医療保険にONEクリックするよ。」と言って置いた。
またまた、Webで大企業を脅す事になってしまった。その内、選挙の演説でも「清きワンクリックを・・・」なんてなるのかなー?    つづく。

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