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親?

テルッツは、婦人クリニックに通っていた。結婚して間もなく卵管炎で数日間入院した事があって、妊娠の事を心配して人づてに紹介して頂いたクリニックだった。通い始めて数ヶ月、1988年12月22日の尿検査で陽性の結果を頂いた。heart02「トシチャン、やったー!!「先生が、大ヒットよ!ホームランよ!」って、言ってくれた。嬉しい、やったー!!!good」今までに無い喜びようの電話が、かかって来た。ワシは、耳を疑った。一瞬、これって現実なの?と思った。でも、むちゃくちゃ嬉しかった。uphappy02 年が明ければテルッツは、31歳になる。暮も押迫り大忙しの中の大事件だった。テルッツの身体を気遣い、おっかなびっくりの正月を迎えた。    

4日、出血してしまった。突然だった。わずか十日余の母親だった。途方も無く悲しかった。「トシチャン、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」声にならない声で、言葉にならない言葉で、何度も何度も謝るのだ。本当に悲しいのは、ワシよりテルッツなのに。

むかし、二人が、将来のことを語り合える仲になった頃、ワシは、テルッツに、こんな事を言った。 「俺は、男家族で育った。母親も言ってた、女の子がひとり居れば、こんな、がさつな家にならないのに。だから、俺の子供は、女の子がいい。もし女の子が生まれたら、名前も考えてある。 あんず  いい名前だろ?」「へー、可愛いね。」  それから、二人が、もっと、もっと、愛し合うようになった頃、テルッツの宝物に、「トシチャン、ください! あんず。」と、書き込まれてあった。

「テルミさん、37歳まで、頑張りましょう。37歳までは諦めちゃだめ!」その後、少し立ち直ったテルッツに掛けられた、先生の言葉だ。 37歳まで頑張ったテルッツの日記には、辛い不妊治療と心が折れそうな自分の事が、いっぱい書かれてあった。  しかし、その日の締めくくりは必ず、「あしたも、がんばるぞー!」だった。

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