« 満天の星空のつづき | トップページ | 今日、12月7日の夜、沢山のお電話有難うございます。 »

テルッツの故郷を見に行ったら!

ワシは、小さい時、父親の運転する車の助手席で、地図を見る役目が好きだった。そのおかげで、初めて行く土地でも前もって地図を予習しておけば大抵は、迷わずに着く事が出来た。今でも、本屋に入れば、料理とお菓子の本、それに地図はチェックする。 後に、と言っても、まだテルッツが元気だった頃、「すごいね、トシチャンは、今、どっちに向っているか方角も分かるんだ。テルは、ぜんぜんわからへんけど。」 そう、大きなショッピングモール、駅の地下街、地下鉄の乗り換え、知らない町の散策、一度通った路は、必ず覚えてしまうワシを、のちのち「不思議獣」と呼んでいた。ワシに言わせれば、テルッツこそ「不思議獣に乗った不思議な少女」だった。   car二人の乗った車は、滋賀県に入った。「よーし、じゃ先ずこの辺で地図をチェックしとこうか?」「どれどれ、なるほどそうか、国道一号に出て、甲西高校通り過ぎて、ちょいとしたら脇に入れば、水口か?栗東インターから一号に出よ。何か、鉄道の駅があるみたいだから、其処まで行けばテルッツなら解るかな?」少し心配そうな横顔だったけど、despair とにかく行ってみよう。  train 駅についた。其処からは、テルッツの記憶が頼りだった。大きな木、川に架かる橋、なんせ住所を、「もう憶えたらへん!」と、言うのだ。同じ処を何度もまわった。「どうした!テルッツ自分の生まれた所憶えてないのか!」 思わずきつく言ってしまった。そうしたら、涙がポロポロ出てきたかと思ったら、テルッツは、「ビエーー!!」と、子供のように大泣きしてしまった。crying「御免ね、テルッツ御免ね。」「どうした、テルッツ?」  「そんな、きつう言わんでもええやんか!」「忘れたんやさかい、しょうがないやろう!」 poutワシにも怒っていたけれど、テルッツは、「自分の生まれた所を、忘れちゃった。忘れちゃった!」と言って、また大泣きした。なだめるのに、どれくらいの時間が経ったのか、辺りは、もう夕方の気配がしていた。  小学校4年生になる時に、一家を挙げて東京に出てきて二十年、以来、一度もふるさとの地を踏んでいなかったのだ、忘れて当たり前なのだ。「テルは、冷たい人間なんやろか?」 「そうじゃない、誰だって二十年前の事など憶えてやしない。」「テルッツは、冷たい人間でも無いし、悪くもないんだよ。」「御免ね、テルッツ。」  現に今、このブログを書きながら、テルッツの残してくれた「愛の記録」と、二人で撮った写真と、ワシのぼんやりした記憶をフル回転させて、涙に塗れながら更新しているんだ。「あの時は、本当に御免ね。テルッツ。」   機嫌が直ったテルッツを乗せ、鈴鹿峠を越えて伊賀上野を通り名古屋を抜けて東名高速へ。「よーし!テルッツ、ご機嫌伺いに、この先の浜名湖で、うなぎを奢ってあげる。」「旨いよー。」と言ったら、「ええでー。」だって。 テルッツは、うなぎが大好きなのだ。  その日遅く、お家へ着いた。翌日は、二人でゆっくりして、休暇の最後の日、またまたご機嫌伺いでテルッツをディズニーランドへ連れて行った。テルッツのご機嫌を取るのは、高くつくのだ。トホホ。weep  十数年後、テルッツは、姉と大阪へ行った帰り、水口に寄ったそうだ。今度は、姉という確かな記憶のおかげで自分の生家を見てきたらしい。「あったで、あったで、テルの生まれた家が、まだ残とったやんかいさー。」と、言って、ニコニコしながら帰ってきた。happy01 「今度は、トシチャンも連れてったるわい。」   テルッツ、その「今度」は、いつなの?テルッツ、君はもう居ないんだよ。   

|

« 満天の星空のつづき | トップページ | 今日、12月7日の夜、沢山のお電話有難うございます。 »

恋愛」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1432860/37990577

この記事へのトラックバック一覧です: テルッツの故郷を見に行ったら!:

« 満天の星空のつづき | トップページ | 今日、12月7日の夜、沢山のお電話有難うございます。 »